手関節(手首)は、非常に小さな骨と靭帯が複雑に組み合わさった、人体の中でも特に精密な構造を持つ部位です。自由自在に動かせる柔軟性と、重いものを持てる安定性を両立させるために、以下のような構成になっています。


1. 骨の構成

手首は合計10個の骨が関わっています。

  • 前腕の骨(2本): 親指側の橈骨(とうこつ)と、小指側の尺骨(しゃっこつ)
  • 手根骨(しゅこんこつ)(8個): ビー玉くらいの大きさの骨が、4個ずつ2列に並んでいます。
    • 近位列: 舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨(前腕に近い側)
    • 遠位列: 大多角骨、小多角骨、有頭骨、有鉤骨(手のひらに近い側)

橈骨と手根骨が主に接しており、尺骨は手根骨と直接接していないのが特徴です(その間にはクッションとなる「TFCC」が存在します)。


2. 靭帯と軟部組織

骨同士を繋ぎ、バラバラにならないように支えています。

  • 手関節靭帯: 骨と骨を繋ぐ無数の短い靭帯があり、手首の複雑な動きをコントロールしています。
  • TFCC(三角線維軟骨複合体): 小指側の尺骨と手根骨の間にある、軟骨と靭帯の複合体です。手首の衝撃を吸収する「クッション」と、尺骨側の「安定剤」の役割を果たします。
  • 屈筋支帯(くっきんしたい): 手首の平側にあるトンネルの屋根のような組織。この下を指を動かす腱や神経が通っており、ここが狭くなると「手根管症候群」の原因になります。

3. 関節の種類

手首は一つの関節ではなく、複数の関節の集合体です。

  1. 橈骨手根関節(とうこつしゅこんかんせつ): 橈骨と手根骨の間のメインの関節。
  2. 手根中央関節: 手根骨の1列目と2列目の間の関節。
  3. 遠位橈尺関節(えんいとうしゃくかんせつ): 橈骨と尺骨の間の関節。手のひらを返したり、ドアノブを回す動き(回内・回外)を担います。

4. 手首の動き(可動域)

これらの構造が連携することで、4方向+回転の動きが可能になります。

  • 掌屈(しょうくつ): 手のひら側に曲げる
  • 背屈(はいくつ): 手の甲側に曲げる
  • 橈屈(とうくつ): 親指側に倒す
  • 尺屈(しゃっくつ): 小指側に倒す