スポーツにおける手関節(手首)のケガは、一瞬の衝撃で起こる**「急性外傷」と、繰り返しの負荷で起こる「使いすぎ(オーバーユース)」**の2種類に大別されます。

特に手首は、足首と違って「道具を操る」「地面に手をつく」という動作が多いため、競技特性によって痛める部位がはっきり分かれるのが特徴です。


1. 転倒・衝突による「急性外傷」

主にコンタクトスポーツ(ラグビー、サッカー)や、転倒の多い競技(スケートボード、スノーボード、体操)で発生します。

  • 手関節捻挫: 手をついて倒れた際に、手首の靭帯が引き伸ばされたり断裂したりします。放置すると関節が緩くなり(不安定症)、慢性的な痛みに繋がります。
  • 舟状骨(しゅうじょうこつ)骨折: 親指の付け根にある骨の骨折です。レントゲンに写りにくいことが多く、「ただの捻挫」と勘違いして放置されやすいため注意が必要です。血流が悪く、くっつきにくい骨としても知られています。
  • 遠位橈尺関節(えんいとうしゃくかんせつ)脱臼・亜脱臼: 手首の2本の骨(橈骨と尺骨)を繋ぐ部分がズレるケガです。柔道などのコンタクト競技で、手首を強く捻られた際に起こります。

2. 繰り返しの動作による「使いすぎ(オーバーユース)」

ラケット競技(テニス、バドミントン)、ゴルフ、野球、ウエイトリフティングなどで多く見られます。

  • TFCC損傷(小指側のクッションの損傷): テニスのインパクトやゴルフのスイングなどで、手首を小指側に鋭く倒す動きを繰り返すことで発症します。ラケット競技のアスリートにとって、最も警戒すべきケガの一つです。
  • 腱鞘炎(ドケルバン病など): 野球のバッティングやゴルフのコック動作などで親指を酷使し、腱の通り道が炎症を起こします。
  • インピンジメント症候群: 体操競技などで手首を過度に背屈(甲側に曲げる)させる際、骨同士が衝突して痛みが出る病態です。

3. スポーツ復帰に向けた当院の戦略

アスリートにとって大切なのは「いつから練習に戻れるか」です。当院では以下のステップで復帰をサポートします。

  • エコーによる早期復帰判定: 「骨に異常がないか」「靭帯がどれくらい修復しているか」をエコーで確認し、競技復帰のタイミングを客観的に判断します。
  • 超音波治療(非熱モード): プロのアスリートも使用する超音波治療器を使い、微細な振動で細胞を刺激。組織の修復スピードを早めます。
  • 競技特性に合わせたフォーム改善: 例えばテニスなら「手首を使いすぎない打ち方」、ウエイトなら「手首の保護方法」など、ケガを繰り返さないための動作指導を行います。